[冬]
何物寒霄入耳新
沙々風雪撲窓頻
此声只許詩人聴
聴到三更寂四隣 冬夜
拙翁
何物ぞ、寒霄、耳に入りて新しきは
沙々たる風雪、窓を撲つこと頻りなり
此声、ただ詩人の聴くばかり
聴き到って三更、四隣、寂たり

(左)池田雲樵筆 拙堂翁肖像(『鐵研齋詩存』呉鴻春輯校, 汲古書院刊行, 2001より)
【メモ】
といふ訳で入手かなった先賢齋藤拙堂翁の遺墨四作を紹介致します。染みや虫損はあれどもわが陋屋に分不相応な家法に合掌三拝。
復刻刊行された詩集『鐵研齋詩存』も白文のままですが、美濃の漢詩人との交流も盛り沢山の模様。玄孫正和氏による後記を以下に抜粋します。
(前略)拙堂の文集は明治の初期、門人の中内樸堂によって編集上梓されましたが、詩集のほうは出版されないまま原稿のかたちで我が家に保管されておりました。これが第二次大戦中に罹災し大変な損傷を受けたのであります。しかし焼失を免れただけでも幸いであったと諦めるほかありません。
他方、敗戦後、日本漢詩文に親しむ人の数は残念ながら著しく減少しました。けれども、精神文化の見直しが必要な今日こそ我々はこの大切なな文化遺産を再度繙く必要があるのではないかと思います。そして、拙堂の遺著もその一端を担うものと考えるのであります。そこで、家蔵の原稿を刊行することにより一人でも多くの方に拙堂の漢詩を読んでいただきたいと念願するのであります。(後略)
『鐵研齋詩存』齋藤拙堂撰 ; 呉鴻春輯校 -- 齋藤正和, 汲古書院(発売), 2001.10, 1冊.
『月瀬記勝・拙堂紀行文詩』影印復刻 齋藤拙堂撰, 2008.10, [1,62,54,80,98]p.菰野町(三重県) : 齋藤正和編 私家版

『齋藤拙堂傳』:齋藤正和著 -- 三重県良書出版会, 1993.7, 427p.
『津藩の賢人 斎藤拙堂物語』 : 斎藤正和著 – 私家版(三重県三重郡菰野町大羽根園呉竹町15-2), 2004.10, 71p.
(2003-2004中日新聞中勢版での連載を纂めたもの)